【ポケモンレジェンズ アルセウス 考察】アルセウスの目的は何だったのか?ストーリーの本当の意味が見えてくる!

こんにちは。清芽津です!!

皆さんは「ポケモンレジェンズ アルセウス 」を楽しんでいるでしょうか?

楽しいはもちろんなのですが、いろいろな考察要素があるのも重要なポイントですよね!

というわけで今回は「アルセウスは何がしたかったのか?何が目的だったのか?」ということについて真面目に考察してみました。

その結果、このゲームのストーリーの本当の意味が見えてきました!!

1万字を超える長文になるので読む気のある方は覚悟を決めて読んでください。

始めに 注意点

今回の考察を進めていくにあたっては、考察材料が結構少ないです。

話を進めるためには仮定に仮定を重ねていく必要があります。

そうやってたどり着いた結論は、もちろん正しいとは言い切れません。

むしろ考察する人それぞれが違う結論に至る可能性が高いと思います。

私が行う考察も数ある考えの一つであるというスタンスでやっていきます。

1章 状況整理

現状ではあまりにも考察材料が少ないので、まずはストーリー開始時点での状況を整理してみます。

以下の図をご覧ください。

順番に説明していきます。

まずはギラティナです。

ウォロと手を組んだギラティナは「時空の裂け目」を開きました。

「時空の裂け目」の影響で時空のバランスが崩れてしまったことにより、ディアルガ/パルキアが暴走してしまいます。

暴走しなかった方はどうにかして相方の暴走を止めようと考えています。

そんな中、主人公はアルセウスの宇宙に連れていかれ、面接を受けました。

その面接後、主人公は「すべてのポケモンに出会え」という使命を与えられ、「時空の裂け目」を経由して今作の世界のヒスイ地方にやってきます。

そして、気を失っていたところをラベン博士に発見されるという流れです。

ここで早速いくつかの疑問が浮上します。

1.なぜアルセウスは主人公を今作の世界に送り込んだのか

2.なぜ「すべてのポケモンに出会え」という使命を主人公に与えたのか

3.なぜわざわざ「時空の裂け目」を経由して主人公を今作の世界に送り込んだのか

以上の3点です。

ここで3番目の疑問について補足します。

主人公と似たような経緯で今作の世界にやってきた人物としてノボリがいます。

作中では特に言及されていなかったので、ノボリがやってきたときには「時空の裂け目」は存在していなかったと考えられます。

だとすると、アルセウスは「時空の裂け目」を使わずに人間を別世界に転移させることができるということになります。

そういう訳で3番目の疑問が浮上してきたのです。

さらにここで4つ目の疑問も出てきます。

4.なぜアルセウスはノボリを今作の世界に送り込んだのか

ということです。

ここまでで4つの疑問点が浮上しました。

1.なぜアルセウスは主人公を今作の世界に送り込んだのか

2.アルセウスはなぜ「ノボリ」を今作の世界に送り込んだのか

3.なぜ「すべてのポケモンに出会え」という使命を主人公に与えたのか

4.なぜわざわざ「時空の裂け目」を経由して主人公を今作の世界に送り込んだのか

この4つの疑問を持って考察を進めていきます。

2章 キングとクイーンの暴走

物語が始まって割とすぐに「時空の裂け目」から雷が落ち、その雷を浴びた「キング・クイーン」たちが荒ぶってしまうという事件が起こります。

最初はアルセウスがこの雷を落としたのかとも思いましたが、おそらく違います。

この雷が落ちるシーンでは「時空の裂け目」から赤と緑の奇妙なオーラが放出されていることが確認できます。

これは「DP」や「BDSP」でディアルガ/パルキアが暴走した際にも見られました。

そしてストーリー終盤でも、暴走したディアルガ/パルキアによって空が赤と緑の変な色になりました。

これらのことを考えると、この雷はディアルガ/パルキアが暴走したことによる事故であると考えられます。

ということはつまり、「キング・クイーン」が暴走したことに関してはアルセウスは何も関与していないということになりますね。

ただ、アルセウスはこの事件が起こることを知っていた可能性はあります。

アルセウスは時間も空間も超えた宇宙に存在する、時間も空間も超えた存在です。

それであればあらゆる世界の過去も現在も未来も認識することができてもおかしくありません。

しかし、アルセウスは、「キング・クイーン」の暴走事件には特に干渉することはしませんでした。

このことから、アルセウスは自分自身が世界に干渉することを避けようとしている可能性が考えられます。

「キング・クイーン」の暴走が収まった後、なんやかんやで主人公はユクシー・エムリット・アグノムに会いに行くことになります。

しかし、その時はアルセウスが力を貸してくれましたよね。

アルセウスフォンからのエネルギーで洞窟の入り口を開けてくれました。

これを考えると、アルセウスは「すべてのポケモンに出会う」ために多少の助力をしてくれるが、それ以外のことにはほとんど干渉しないという考えを持っているのではないでしょうか。

だとすると、「すべてのポケモンに出会う」ということはアルセウスの目的を達成するために非常に重要な要素なのでしょう。

3章 目的を達成するとはどういうことか

そもそも「目的を達成する」とはどういうことなのでしょうか。

それは「(Aを)Bの状態にする」という風に言い換えることができます。

例えば、世界を破滅させるという目的を持った魔王がいるとしましょう。

その目的を達成するということは、「世界が破滅した状態にする」ということです。

意中の人と付き合うということは「意中の人と恋仲の状態になる」ということになりますし、ゲームをクリアするという目的を達成することは「ラスボスを倒した状態にする」ということです。

そう考えると、アルセウスは「主人公やノボリを使って今作の世界の状態を変えようとしている」ということになります。

では、アルセウスはどんな変化を望んでいるのでしょうか。

ヒントになるのは、主人公とノボリの共通点です。

その共通点は「あらゆる人がポケモンと共に暮らす世界に住んでいた」ということです。

これは明らかにヒスイ地方の人々とは異なる点です。

この共通点を持つ人間を2人もヒスイ地方に送り込んだのは、アルセウスの何らかの意図によるものだといえるでしょう。

つまり、「あらゆる人がポケモンと共に暮らす世界に住んでいた者」でないと、アルセウスの目的を達成できないということです。

おそらく、最初に送り込んだノボリだけでは目的を果たせなかったために、後から主人公を送り込んだのだと考えられます。

さらに、主人公には「すべてのポケモンに出会え」という使命まで与えました。

その上で、コトブキムラの近くに送り込みました。

コトブキムラに本部を置くギンガ団はポケモン図鑑の完成を目標としていました。

主人公はそんなギンガ団に入団し、ポケモン図鑑の完成を目指すことになりました。

「すべてのポケモンに出会う」こととポケモン図鑑を完成させるということは非常に似てますよね。

主人公がポケモン図鑑を完成させようとすることは、必然的に主人公が「すべてのポケモンに出会う」ことになります。

この展開になったことは全くの偶然なのでしょうか。

もしかすると、アルセウスはこの展開になることを期待してコトブキムラの近くに主人公を送ったのかもしれません。

「すべてのポケモンに出会う」こととポケモン図鑑の完成を通じて目的を果たそうとしているのです。

アルセウスが与えた使命は道標だといえるでしょう。

その使命を果たしやすくするためにコトブキムラの近くに主人公を送り込んだのではないでしょうか。

4章 ギンガ団員の出身地

「アルセウスは主人公によって今作の世界が変えようとしている。使命はその道標である」というところまでは仮説が立ちました。

では、アルセウスが変えようとしている今作の世界とはどのような世界なのでしょうか。

いうまでもなく、ヒスイ地方は「人とポケモンに隔たりがある場所」です。

ストーリー中で「ポケモンは恐ろしい生き物」と何度も言及されています。

コンゴウ団やシンジュ団のようにポケモンとの距離が近い人たちもいますが、多数派ではなさそうです。

では、今作の世界のうち、ヒスイ地方以外の地域はどういう状態なのでしょうか。

ギンガ団の団長であるデンボクは関西弁らしき口調を使うことがあります。

このことから、デンボクはジョウト地方出身であることが推測されます。

また、ラベン博士の部屋の黒板にはガラル文字が書かれていることから、博士はガラル地方出身の可能性が考えられます。

団員の中にはアローラから来たであろう人もいます。

ギンガ団は様々な出身地の人が集まっていることがわかります。

しかし、そんな人ですら「ポケモンは恐ろしい生き物である」と考えているのです。

つまり、今作の世界ではヒスイ地方以外の地域でも、人とポケモンの距離に隔たりがあるのだと考えられます。

世界全体で人とポケモンの距離が離れている中、このヒスイ地方ではギンガ団が体を張ってポケモンの生態調査を行っています。

「人とポケモンの距離を縮める」という面では、ヒスイ地方のギンガ団が最前線に立っているのです。

先述したとおり、アルセウスは意図的に主人公をコトブキムラの近くに送り込んだ可能性があります。

もしそうであるなら、アルセウスは人とポケモンの関係性を変化させようとしているのではないでしょうか。

そして、その変化は「あらゆる人がポケモンと共に暮らす世界に住んでいた者」でないと起こせないと考えたのかもしれません。

つまり、アルセウスが望む変化とは「人とポケモンの距離が近くなること」だと考えられます。

5章 疑問の整理

ここで現在浮上している疑問について整理します。

1.なぜアルセウスは主人公を今作の世界に送り込んだのか

2.アルセウスはなぜ「ノボリ」を今作の世界に送り込んだのか

3.なぜ「すべてのポケモンに出会え」という使命を主人公に与えたのか

4.なぜわざわざ「時空の裂け目」を経由して主人公を今作の世界に送り込んだのか

この4つの疑問のうち、1~3については答えらしきものを導き出せました。

アルセウスは「人とポケモンの距離を縮める」ために、「人とポケモンが共存する世界を知っている者」つまり、主人公やノボリを今作の世界に送り込みました。

「すべてのポケモンに出会え」という使命は「人とポケモンの距離を縮める」ための道標です。

今解決できていない疑問は

・なぜわざわざ「時空の裂け目」を経由して主人公を今作の世界に送り込んだのか

ということです。

しかし、私はさらに新しい疑問を抱きました。

・なぜアルセウスは今作の世界を気にかけているのか

という疑問です。

この後の章で詳しく説明します。

そんなわけ現在の疑問は2つです。

1.なぜアルセウスは今作の世界を気にかけているのか

2.なぜわざわざ「時空の裂け目」を経由して主人公を今作の世界に送り込んだのか

6章 パラレルワールドと凶事

ポケモンの世界ではパラレルワールドの存在が明言されています。

「ウルトラサン/ムーン」では、完全に滅びてしまったハウオリシティや、野望を成就した悪の組織リーダーが集まるレインボーロケット団が登場します。

時間と空間を超えた存在であるアルセウスはこれらのパラレルワールドについても把握しているはずです。

では、アルセウスはそれらのパラレルワールドに何か干渉したのでしょうか。

これまでのポケモンシリーズでは世界の危機やそれに近い凶事が何度も起こっています。

こういった出来事はたいてい主人公や昔の英雄によって治められています。

アルセウスはあまり問題解決のために干渉していないように見えますね。

今作のストーリーでも暴走したディアルガ/パルキアが現れたり、ギラティナ&ウォロが良からぬことをしていましたが、アルセウスが大きな動きを見せることはありませんでした。

これらの出来事に干渉しなかったのはなぜでしょうか。

その理由は、アルセウスが未来を知っているからだと思います。

時間も空間も超えたアルセウスであれば、あらゆるパラレルワールドの時間軸を把握していても不思議ではありません。

アクア団やマグマ団によってホウエン地方が壊滅しかけた時も、アカギが新世界を創り出そうした時も、フラダリがフレア団以外の存在を消し去ろうとした時もアルセウスは何も行動しませんでした。

それはアルセウスが介入しなくても無事に解決できる未来が見えていたからでしょう。

今作の「キング・クイーン」の暴走、ディアルガ/パルキアの暴走、ギラティナ&ウォロの計画も知っていたはずですが、アルセウスはほとんど手を出しませんでした。

これらの事件も、アルセウスが手を貸さなくても解決できることがわかっていたのでしょう。

例外的に、ユクシー・エムリット・アグノムに会うときには少し手を貸してくれましたが、これは主人公たちの力だけではたどり着けないと判断したのだろうと思います。

ここまで見てきたように、アルセウスはあらゆる世界のあらゆる時間を認識し、極力手を出さないようにしていることがわかりました。

となれば、ヒスイ地方で「人とポケモンの距離を縮める」ことを望んでいる理由も少し見えてきます。

今作の世界には何か大きな凶事が差し迫っており、それを回避するための手段が「人とポケモンの距離を縮める」ことなのです。

アルセウス自身は極力世界に干渉したくないので、「人とポケモンの距離を縮める」ことができそうな主人公やノボリを今作の世界に送り込んだ、と推測できます。

というわけで、アルセウスの行動の流れについてざっくりと図にまとめました。

ごちゃごちゃしてるのはご愛敬。

真ん中の数字の順に見て行ってください。

1.あらゆる世界と時間を見ているアルセウスが「今作の世界」の未来に凶事が起こることを知った。アルセウスは凶事を回避する方法を考えた。

2.「人とポケモンの距離を縮める」ことで凶事を回避できると考えたアルセウスは、他の世界からポケモンと仲良くなれそうな人間であるノボリを送り込んだ。

3.ノボリだけでは未来を変えることはできなかったため、さらに主人公も送り込んだ。「人とポケモンの距離を縮める」ためのヒントとして「すべてのポケモンに出会え」という使命を与えた。

4.主人公によってヒスイ地方の人々の意識が変わり始め、人とポケモンの距離が近づき始めた。これにより、今作の世界を襲うはずだった凶事が回避されてアルセウスがニッコリ。

こんな流れになるでしょうか。

ここまでで、「アルセウスは何がしたかったのか」ということの答えはかなり導き出せました。

残った疑問も解決していきましょう。

7章 疑問の整理

現時点で残っている疑問は1つです。

・なぜわざわざ「時空の裂け目」を経由して主人公を今作の世界に送り込んだのか

これを解決すれば考察終了、と言いたいところですが、また新たな疑問が生じてしまいました。

・アルセウスが恐れた凶事とは何か

というものです。

この2つについて考えればようやく考察も終わります。

まずは「アルセウスが恐れた凶事とは何か」から考えていきます。

8章 アルセウスの価値観

まず念頭においておきたいのは、アルセウスが持っている価値観は人間のものとは違う可能性が高いということです。

人間が危機的状況にあってもアルセウスは助けてくれない可能性があるのです。

例えば、デンボクの故郷はポケモンに滅ぼされた上に多くの人々が命を落としました。

非常にショッキングな事件ですが、アルセウスはこれを止めるようなことはしませんでした。

「X/Y」では3000年前に激しい戦争が起こり、多くの人とポケモンが犠牲になりました。

当時のカロスの王であったAZは最終兵器を造り上げ、さらに多くの人とポケモンの命を消し飛ばしました。

非常に凄惨な出来事ですが、それでもアルセウスはこの戦争を止めようとはしませんでした。

つまり、多くの人やポケモンが理不尽に命を落とすような状況であったとしてもアルセウスは助けてくれないということになります。

アルセウスにとっては人やポケモンの生死は特に気に掛ける必要のないものなのかもしれません。

そうであれば、「アルセウスが恐れた凶事」とは単に人やポケモンの生存が脅かされるようなものではないということになります。

さらにスケールの大きい出来事である可能性もありますし、逆に人間にとっては取るに足らないことがアルセウスにとっては凶事である可能性もあります。

現時点で言えるのは、「アルセウスは人やポケモンの生死にはあまり興味がない」ということです。

怖いですね。

9章 アルセウスが恐れた凶事

「アルセウスが恐れた凶事」とは何なのでしょうか。

今作の物語の中でアルセウスに影響がありそうな事件を考えてみましょう。

すぐに思いつくのは以下の2つです。

・ディアルガ/パルキアの暴走による時空の崩壊

・ギラティナの反逆&ウォロによる世界再創造

順番に考えていきましょう。

まずは、1つ目の「ディアルガ/パルキアの暴走による時空の崩壊」についてです。

ストーリーを見る限りでは、ディアルガ/パルキアの暴走は主人公がいなければ止められなかった可能性が高いです。

止められなかった場合はどうなるのでしょうか。

コギトが言っていたように世界が滅びる可能性があります。

さらに時空の崩壊という現象は他の世界に影響を与える可能性も十分にあるわけです。

人やポケモンの生死に興味のないアルセウスといえども、さすがに時空の崩壊は看過できないと考えたのかもしれません。

これを防ぐために主人公やノボリを送り込んだ可能性も考えられます。

「アルセウスが恐れた凶事」が本当にこれであれば、本編終了時点で主人公は役目を終えたことになります。

しかし、アルセウスはこの後も「すべてのポケモンと出会え」という使命を与え続けました。

そして何よりも、この事件の解決は「人とポケモンの距離を縮める」ことで解決できたというよりも、主人公がすごいから解決できたといえます。

これらのことから、アルセウスが回避したかった凶事は時空崩壊事件とは別にあると考えられます。

時空崩壊事件はあくまでも通過点です。

この後に起こる事件こそが人とポケモンの距離を縮めなければ解決できないものなのかもしれません。

次に「ギラティナの反逆&ウォロによる世界再創造」について考えます。

結論から言うと、これに関してはアルセウスは特に問題視していなかったと思います。

ギラティナは主人公に敗北しました。

どう考えても主人公よりも圧倒的に格上であるアルセウスに勝てたとは到底思えません。

また、ストーリー中に描写によるとウォロによる世界の再創造も、アルセウスはやる気が無さそうでした。

ギラティナ&ウォロの企みは最初から詰んでいたのです。

可哀そうですね。

では、アルセウスが回避したかった凶事はいつ起こるのでしょうか。

はっきりとはわかりません。

ですが、時空崩壊事件もギラティナ&ウォロ事件も凶事ではなかったとすれば、これよりも後に起こるであることは予測できます。

「すべてのポケモンと出会う」という使命を果たした主人公は、アルセウスの分身を授けられることになります。

そしてアルセウスは「より近くで共に世界を見せてあげてください」と言いました。

この後に起こる凶事のことは一切言及しませんでした。

それは何故でしょうか。

おそらく、「アルセウスが恐れた凶事」は回避されることが確定したからではないでしょうか。

主人公がきっかけとなり、ヒスイ地方の人々とポケモンの関係は変わりつつあります。

後は放っておいても「人とポケモンの距離を縮める」ことができるのです。

「人とポケモンの距離が縮まる」という変化はヒスイ地方のみならず、カントー、ジョウト、ホウエン、イッシュ、カロス、アローラ、ガラルといったほかの地域にも広がっていくはずです。

世界全体で人とポケモンの距離が縮まるのです。

その結果、放っておいても「アルセウスが恐れた凶事」が回避されるということなのでしょう。

「より近くで共に世界を見せてあげてください」という言葉には、神としての視点ではなく1匹のポケモンとして、変化していく世界を体感したいという思いが込められているのでしょう。

結局「アルセウスが恐れた凶事」とはどのような出来事なのか。

正直わかりません。

何なのかはわかりませんが、今作の物語よりも後に起こるはずだったということは推測できました。

そして、その凶事は人とポケモンの関係性の変化によって回避できたのです。

10章 「時空の裂け目」を経由させた理由

では、最後に残った疑問について考えます。

・なぜわざわざ「時空の裂け目」を通じてヒスイ地方に送り込んだのか

ということですが、正直なところ、これについても答えはよくわかりません。

ただのきまぐれだったのかもしれないし、そもそもラベン博士の見間違いだったかもしれません。

それとも、「時空の裂け目」を通ることで主人公がパワーアップしたのだろうか、と考えてもキリがありません。

ここで、視点を変えてみましょう。

「時空の裂け目」を通ったことは結果的にどうだったのかということです。

いわば結果論です。

例えば、もし主人公が「時空の裂け目」を通らず直接始まりの浜に倒れていた場合はどうなるでしょうか。

主人公を発見したラベン博士はどう感じるでしょうか。

「変な恰好をしたヒスイ人」や「異国から流れ着いた人」とかそういう具合でしょう。

では、「時空の裂け目」を通ってきた場合はどうなるでしょうか。

そもそも「時空の裂け目」は人々が理解できない超常的な現象です。

その「時空の裂け目」を通ってきた主人公はまぎれもなく「特別な人間」といえます。

「変な恰好をしたヒスイ人」が世界を変える、「異国から流れ着いた人」が世界を変える、「別世界から来た特別な人間」が世界を変える、もっともインパクトや凄みがあるのはどれでしょうか。

当然、「別世界から来た特別な人間」の場合ですよね。

アルセウスがどういう意図で「時空の裂け目」を経由させたのかはわかりませんが、結果としてプラスに働いたと考えられます。

もしかするとアルセウスはこれを狙っていたのでしょうか。

というわけで最後の疑問の答えは「主人公に箔をつけるため、かもしれない」ということになります。

さて、これですべての疑問が解決しました!!

あとは話をまとめて終わろうといいたいところですが、もう少しだけお付き合いください!!

11章 神話の誕生

あと少し、神話についてお話します。

作中のコギトのセリフにこういうものがあります。

「わからないなりに世界のありようを教えてくれるのが神話である」というものです。

このゲームに限った話ではありません。

人間は理解できないものを恐れる傾向があります。

それを少しでも理解しようとした結果が神話なのです。

世界各国に「世界創世神話」があったりしますし、ちょっとおもしろい所で言うとキリスト教から派生したグノーシス主義は「悪の起源」について説明してくれます。

他にも自然界の現象や世界そのものについて説明しようとした神話はたくさんあります。

作中の神話も、古代のヒスイに住む人々が「シンオウさま」にまつわる様々な現象をわからないなりに解釈して意味づけや理由付けを行なった結果生み出されたものなのでしょう。

そして「わからないなりに解釈し意味づけや理由付けを行う」というのは、今作のストーリ中にも見られます。

突然「時空の裂け目」が現れた。

「時空の裂け目」から変な人間がやってきた。

「時空の裂け目」から雷が落ちて「キング・クイーン」が荒ぶった。

「時空の裂け目」から来た人間がこれを鎮めた。

「時空の裂け目」が広がり、空がやばいことになった。

「時空の裂け目」のすぐ下にシンオウ様(ディアルガ/パルキア)が現れた。

その神は「時空の裂け目」から来た人間に力を貸し、もう1柱の荒ぶる神を鎮めた。

ヒスイの人々の視点でこれらの出来事を見てみましょう。

もはや意味不明です。

意味不明ではありますが、何かやばいことが起こり、すごい人が神と協力して解決してくれたということは何となくわかるでしょう。

それでもやっぱり理解できないのです。

「わからない」のです。

ですが、人間は理解できないものをそのままにしたくないのです。

だから「わからないなりに解釈し意味づけや理由付けを行う」ことを行います。

作中に登場したキャプテン達やセキ、カイ、デンボクなどはまさにそれを行なった者たちです。

わからないなりにヒスイ地方で起こった現象に「自分なりの」理由付け・意味づけを行なったのです。

無料アップデート「ヒスイの夜明け」では大大大発生という現象が起こりましたが、これも結局明確な原因は明かされず、各々の人物が「自分なりの」理由付け・意味づけを行いました。

これはつまり、人それぞれの神話が生まれたということです。

正しくは「神話の素」でしょうか。

今はまだバラバラの「神話の素」ですが、これからの時の経過とともにこれらの「神話の素」も形を変えながら融合し、一つの神話・伝説・伝承となるのでしょう。

なんと今作のストーリーは神話の誕生の過程を見ることができるストーリーでもあったわけです。

やたらと神話の存在感が大きいストーリーでしたが、新たな神話の誕生もねじ込んだ欲張りセットだったのです。

こう考えると前章の「箔をつける」ために「時空の裂け目」を経由させたというのもあながち間違っていないのかもしれません。

「時空の裂け目」から現れたってだけで神話の主人公にうってつけです。

今作のストーリーはまさしく神話の誕生・体験なのです。

まとめ

ようやく、この時がやってきました。

「アルセウスは何がしたかったのか」

この答えは、

「今作の世界を襲う凶事を防ぎたかった。」ということになります。

人とポケモンの距離を縮めれば凶事を防ぐことができると考えたアルセウスは主人公を今作の世界に送り込み、ヒントとして「すべてのポケモンと出会え」という使命を与えました。

その結果、今作の舞台では将来的に人とポケモンの距離が縮まることになり、アルセウスが恐れた凶事は回避されました。

それと同時に一連の事件と主人公の活躍は、新たな神話・伝説の誕生にも繋がりました。

結局凶事の内容ははっきりしませんが、考える材料が足りないのでどうしようもないです。

もちろんこれは、仮定に仮定を重ねたうえでの結論であるため、全く違う考察をした人もいるでしょう。

あくまでもこういう考えをした人もいるという程度にとらえてくださいね。

余談 主人公が元の世界に帰れない理由

これは考察ではなんでもなく、ただの思い付きの話です。

なぜ主人公やノボリは元の世界に帰れないのでしょうか?いや、返してもらえないのか?

私が思いついたのは、「アルセウスは、主人公やノボリのコピーを今作の舞台に送り込んだ」ということです。

つまり、元の世界には特に何の影響もないのではないかということです。

そうだとしたら今作の主人公やノボリには最初から帰る場所などなかったということになります。

アルセウス怖すぎ。やっぱ邪神かもしれない。